鼻尖縮小の医学

● 鼻尖縮小手術の要点

鼻尖縮小の術前術後の症例画像 東洋人に団子鼻が多いのは、西洋人と比べ、鼻先の皮膚が厚く、皮下脂肪などの軟部組織も多く、加えて鼻先の左右の鼻翼軟骨が開いているためです。従って皮膚の切除は行なえないまでも、皮下軟部組織を出来るだけ切除し鼻翼軟骨が正中で開いている部分は糸で縫合して寄せ、更に鼻翼軟骨部分切除をすれば、まあまあ細くなります。そして軟骨縫合が鼻先を縫い上げる傾向なので上がったものを下げる意味で削った鼻の軟骨や軟部を鼻先に移植が良い形状を作る事になります。術後は約1週間ギブス固定が絶対に必要でテープだけではダメです。

●鼻尖縮小は効果が僅かしか出ない?

皮下の軟部組織や軟骨の切除を出来るだけ行っても、また左右に開いた鼻翼軟骨内側脚の正中への縫合をキチンとしても、実は鼻尖手術後の外観の変化は少しです。その理由は厚くて硬めの皮膚がそのままだからです。鼻尖縮小(形成)は難しい
丁度、夏ミカンは身をくり抜いても、皮だけで形を保てるのと似ています。鼻尖の皮膚独特の皮脂腺の多い厚く硬い皮膚は、まるで形状記憶合金のように、元の形を維持しようとするのです。 鼻翼縮小(小鼻縮小)の場合は皮膚を切り取れるから、手術前から確実な効果が保証できるのと対照的に、鼻尖縮小は中をいじった変化が外にどれだけ現れる不確定要素が多く、狙った通りの結果が出し難いものなのです。

●鼻尖縮小は、オープン法かクローズ法か

鼻尖 縮小術は左右の鼻の穴の中を切開するわけですが、どうしても隙間から覗いての手術になるので、慣れないうちは感が働かず、キレイに細くは出来ないものです。これに対して切開を上述の鼻の穴の中以外に鼻の穴と穴の開に加え鼻先の皮膚をガバッと持ち上げ、中を丸見えにして行なう術式を、「オープン法」と巷では呼びます。対してこの外からの切開を加えない方法は「クローズ法」と呼ばれます。  鼻尖形成オープン法
個人的見解ですが、オープン法は、中が良く見えるから初心者でも鼻尖縮小の効果を出し易い術式で、クローズ法は手術の勘所が働く人でないと効果が出し難い術式。加えて劇的に細くするような、十分過ぎる皮下での処置は、皮膚の血行を悪くしますので、これは実はクローズ法の方が皮膚壊死などの重大な合併症を起こし難い利点があるものです。 なお、オープン法の傷は後々あまり目立ちませんが、消えるわけではありませんから、見る人が見れば5年経っても分かりますし、オープン法の傷は時に拘縮により段差を生じてしまうことがあり、これになると修正は大変困難です。

●鼻尖縮小で軟骨縫合を行なうと鼻先が上がる?

この上がった感じが、ピエロの横顔の鼻を見ているようで美しくありませんから、通常は軟骨の部分切除で対応します。しかしそれだけでは、鼻先が上がった感じ自体が治らないので、部分切除で削った軟骨を鼻先のやや下目に移植する(軟骨移植)とバランスが取れるものです。

●鼻尖手術後のケア

術後早期の時、丁度良い細さだった鼻尖も術後3ヶ月も過ぎるようになると、後戻りして以前の自分の鼻に似てきたと感んじる様になる事はしばしばあります。皮下の切除された組織の修復で、結合組織が形成されたり、皮脂腺の多い硬い皮膚が形状記憶合金のように、3〜4ヶ月かかって、元の丸い鼻に戻ろうとするのです。 これに関しては、術後(抜糸後)、自宅で使う専用ギブスを就寝時のみでも毎日使う事で対応できるものです。
鼻尖縮小+ギブスしかしギブスを熱心に使った患者さんの中には術後早期には細かった鼻尖が後で太くなった例が散見します。
逆にギブスを使用させなかった症例の方が、あまり太くならず成績が安定している傾向があります(但しこれはギブス使用の患者さんは太くなる予兆があったからギブス使用に踏み切ったので、一概には述べられませんが)。 
術後、特に早期にギブスを使う事は、脱着の繰り返しによるマッサージ効果としての炎症の再燃、過大な力ではズレ応力による癒着部の剥離・空洞形成→治癒機転として肉芽が生じて太くなると伴に、空洞を小さくする拘縮作用で鼻尖・鼻翼の変形を起こす事はあり得ます。
私はそういう人も見てきましたので、術後の自宅でのギブス使用では「一瞬でも強い力をかけるのは危険!」と指導をしています。(下の写真はギブスで早期に過大な力を加え続け変形が生じた症例)その後の再手術の経過は≫こちらのブログへ

鼻尖縮小後の術後変形